離婚でお悩みの方へ
1 離婚問題は精神的にきつい
離婚問題は,信頼してこれからの人生をともに歩もうとした人との争いである点で,精神的にかなりきつい問題といえます。
また,子どもに関連して,親権や養育費,面会交流などが問題になると,交渉のいとぐちも見出しにくく,争いが長期化する傾向にもあります。
とはいっても,現状をそのままにしても解決にはつながりません。
まずは,見通しを持ってみることによって,楽な部分もあるだろうと思います。
ご自身の親族や友人など,味方になってもらえそうな人との関係できる限り維持するのが良いと思います。
ぐちを聞いてもらえるだけでも楽になりますし,子どもを預けなければならないときに面倒を見てもらえたり,家族であれば本当に苦しいときに生活の援助をしてもらえれば,負担は精神的にも軽くなるでしょう。
いつかは問題が解決するというイメージを持つことが,まずは大事です。2 離婚した場合の生活のイメージをはじめに描く
離婚は,今まで1つの食費や家賃負担などをわけて生活する以上,お互いの生活の維持が厳しくなってくることは避けがたいと思います。
また,子どもがいる場合は,どちらが養育するのか,養育費の支払いや面会はどうするのかについて,長期的に発生する問題への対処が避けられません。
このように,他のトラブルではみられないような長期にわたる考慮事項が複数あるのが離婚であり,これらのイメージを固めておくことが有益です。
何も考えずに離婚に突き進むと,予想外の苦労で生活が立ち行かなくなる危険があります。
離婚後の生活費については,給料と養育費,児童手当や児童扶養手当によって維持することができるか,養育費が支払われる見込みは確実といえるかなどについてのイメージをしておきたいところです(逆に払う側の場合も,収支が大きく変わります)。
生活の支出も,実家で生活するのか,独立してアパートを借りるのかによって大きく変わります。
その上で,夫婦関係を立て直す努力をするほうが良いのか,離婚に向けた具体的な手続きに入ったほうが良いのかの意思決定をしてくことになります(なお,精神的にきついのに家庭内別居を続けることは,本人の精神的負担だけでなく,子どもの生活環境を考えるとおすすめできないことが多いと思います)。3 離婚の進め方
離婚の手続は,大きくわけて①協議離婚,②調停離婚,③裁判離婚の3つです。
①協議離婚
協議離婚は,離婚届に夫婦双方が必要事項を記入し,署名押印をして市役所(役場)に提出する方法です。日本の離婚の9割程度が,協議離婚によって行われていると言われています(他方,調停や裁判に至る離婚が珍しいと印象もまったくありません)。
協議離婚は,離婚届を出すだけでよく,負担がとても少ないのが特徴です。
ただし,親権を決めないまま離婚届は出せないので,親権の行方が決まっていない場合は使えません。
離婚の条件を整える必要が無い場合や,本人感の話し合いで有利な条件を整えられた場合は,協議離婚が良いですが,養育費の支払いや面会の方法など,あらかじめ詰めておくべきことがある場合は,離婚協議書を作るなど慎重に書面化するべきだろうと思います。場合によっては,公正証書を作成することもあります。
弁護士に依頼した後でも,離婚協議書を作った上で,協議離婚をする場合もあります。②調停離婚
調停離婚は,離婚調停を申立て(あるいは申し立てられ),家庭裁判所の調停手続きによって離婚の条件を協議するものです。
のちに述べる裁判離婚は,調停手続を行ったあとでないと訴えを起こすことができないため,協議離婚ができない場合は,必然的に調停離婚の可能性を探ることになります。
調停は,家庭裁判所の男女の調停委員による双方の利害の調整を行いながら,話し合いを進めていきます。
夫婦が裁判所構内でばったり出会うことがないよう配慮された方法ではありますが,DVが問題になる事案などでは,別の日の呼び出しをしてもらうなどさらに配慮を求めていく必要があります。
1回あたりの時間が長く(待ち時間が長い),弁護士に委任しても本人も裁判所に出向ことを求められるため,依頼者にとっては負担の大きい手続でもあります。
弁護士をつけずに1人で離婚調停をされている方もおられ,不可能ではありませんが,調停手続の見通しをつけながら,調停において起こりがちな不穏当な言動から守る必要を考えれば,弁護士をつけておく意味は大きいといえます。
最終的に協議が整った場合は,調停調書が作られ,一方当事者の署名押印がなくとも,離婚の届けを出すことができます。4 弁護士費用について
着手金
離婚事件の着手金は
①交渉の場合,標準的なものを15万円とし,最も簡易なもので10万円から,困難なものは20万円以上程度
②調停の場合,標準的なものを20万円とし,最も簡易なもので15万円から,困難なものは25万円以上程度
③民事訴訟の場合,標準的なものを30万円とし,最も簡易なもので20万円から,困難なものは35万円以上程度
としています。
上記の基本額に
①金銭請求が伴う場合は2万円を
②親権を争う場合は3万円を
③有責配偶者からの離婚請求の場合は5万円を
それぞれ追加します。
財産分与の対象財産が多かったり,相手方の不貞などの立証に困難がある場合には,困難な分類になり,離婚などの方向性が大きく固まっている場合などは簡易な分類になります。
なお,離婚事件は,依頼者の方の今後の生活に不安が残る場合が多く,法テラスによる法律援助事業を活用する場合が多いです。こちらから積極的に利用をご案内しています。
5 よくあるご質問(Q&A)
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